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2026年07月22日

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大雨・浸水でキュービクルが止まる?受変電設備の水害対策と復旧時の注意点

豪雨や河川の氾濫、下水道の処理能力を超える内水氾濫によって、キュービクルや電気室が浸水すると、建物全体が停電するおそれがあります。照明だけでなく、空調、給排水ポンプ、エレベーター、通信設備、生産ラインなどにも影響が広がるため、ビルや工場、商業施設にとっては事業継続に直結する問題です。

水が引き、設備の外側が乾いて見えても、すぐに使用できるとは限りません。内部に残った水分や泥、塩分などが絶縁性能を低下させたり、時間の経過とともに腐食を進めたりする可能性があります。自己判断で再送電すると、感電や短絡、火災、機器の追加損傷につながるおそれがあるため注意が必要です。

この記事では、キュービクルが浸水したときに起こり得る影響、平時に進めたい水害対策、大雨や台風が近づいた際の確認事項、浸水後の初動と復旧判断について解説します。施設の被害を抑え、復旧を円滑に進めるための準備にお役立てください。

 

 

 

1.キュービクルが浸水すると何が起こるのか

キュービクル式高圧受電設備は、一般送配電事業者から高圧で受けた電気を施設内で使用できる電圧に変え、各設備へ供給するための重要な設備です。内部には変圧器、開閉器、保護装置などが収められています。これらが浸水して絶縁不良や汚損、腐食を起こすと、受電設備を安全に運転できなくなり、施設全体の停電につながることがあります。

浸水の程度や水質、設備の構造によって被害は異なります。外観だけで使用可否を判断することは難しく、専門家による調査、測定、動作確認が欠かせません。特に高圧受電設備は危険性が高いため、施設管理者が内部へ立ち入ったり、機器に触れたりしないことが重要です。

 

長期停電と事業継続への影響

受変電設備が停止すると、建物内の多くの設備へ電気を供給できなくなります。オフィスビルでは空調やエレベーター、通信機器、給排水設備が使えなくなり、商業施設では営業継続が困難になることがあります。工場では生産ラインの停止に加え、仕掛品の損失や納期への影響が生じる可能性もあります。

浸水した電気設備の復旧は、排水後すぐに完了するとは限りません。清掃、調査・点検、交換部品や代替機器の手配、仮設電源の設置、本復旧工事など、複数の工程が必要です。被害の範囲によっては機器の交換や設備更新が必要になり、復旧に相応の時間を要する場合があります。修理費だけでなく、休業や生産停止による損失も含めてBCP(事業継続計画)の課題として備えることが大切です。

 

水が引いた後も残る絶縁劣化・腐食のリスク

河川や下水などから流れ込んだ水には、泥、細かな粉じん、塩分、さまざまな汚れが含まれていることがあります。こうした物質が端子や絶縁物、機器内部へ付着すると、表面が乾いた後も絶縁性能が十分に戻らなかったり、腐食が進んだりする可能性があります。その場では動作しても、後日故障するおそれがある点にも注意が必要です。

清掃や乾燥だけで再使用できるか、部品交換が必要か、機器全体を更新すべきかは一律には決められません。設備の汚損や変形を確認し、絶縁抵抗など必要な測定と保護装置・開閉器の点検を行ったうえで、慎重に使用可否を判断します。

 

 

 

2.平時に行うキュービクル・電気室の水害対策

水害対策の第一歩は、自社施設がどの程度の浸水リスクを抱えているかを把握することです。自治体が公表する洪水ハザードマップや内水ハザードマップ、浸水想定区域、過去の浸水実績を確認し、想定浸水深と水が入り得る経路を整理しましょう。周辺より低い敷地、地下や半地下の電気室、排水が集中しやすい場所では、特に丁寧な確認が求められます。

有効な対策は、設備の設置場所や建物の構造、想定される浸水深によって変わります。止水、設備のかさ上げ・移設、排水、非常用電源、連絡体制などを組み合わせ、設備の重要度と予算を踏まえて優先順位を決めることが大切です。

 

止水板・防水扉・貫通部処理で水の侵入を抑える

建物や電気室への浸水リスクを抑える方法として、出入口への止水板や防水扉の設置があります。扉だけでなく、電源引込口や配管貫通部、換気口、通気口、ケーブルピットなども水の侵入経路になり得ます。図面と現地の両方を確認し、水防ラインをどこに設定するか、開口部をどのように処理するかを検討します。

土のうや防水テープは状況に応じた応急対策となりますが、準備や設置が遅れると十分に機能しない可能性があります。止水板の保管場所、運搬方法、設置担当者、作業を始める基準を事前に定め、定期的に手順を確認しておくと、台風接近時にも動きやすくなります。

 

設備のかさ上げ・移設と排水経路の整備

建物への水の侵入を完全に防ぐことが難しい場合は、主要な電気設備を想定浸水深より高い位置へ設置する考え方が重要です。新築や大規模改修では上階や屋上など浸水リスクの低い場所への配置を検討し、既存設備では架台の設置や土台のかさ上げ、設置場所の移設を検討します。

ただし、キュービクルの移設やかさ上げには、設備重量を支える構造、安全な保守スペース、放熱・換気、ケーブルの延長、搬入経路などの検討が必要です。また、排水ポンプや排水溝があっても、能力不足、詰まり、停電による停止、下水側からの逆流が起これば排水できないことがあります。止水と排水を別々に考えず、建築設備と電気設備を含めて計画しましょう。

 

非常用電源・図面・連絡体制を整える

非常用発電設備は、設置されているだけで安心とはいえません。定期点検に加え、起動や切替が正常に行えるか、燃料をどのように確保するか、どの重要負荷へ何時間給電するかを確認しておく必要があります。非常用発電機や蓄電池自体が浸水しない配置になっているかも見直しましょう。

あわせて、単線結線図、設備配置図、機器台帳、負荷設備の資料を更新し、すぐ取り出せる状態にしておくことが大切です。施設管理者、電気主任技術者、保安管理の委託先、電気工事業者、一般送配電事業者(地域の送配電会社)などの連絡先と連絡順序を明確にしておけば、被災状況の共有、仮設電源の検討、復旧工事を進めやすくなります。

 

 

 

3.大雨・台風が近づいたときの事前確認

大雨や台風の予報が出たら、自治体の避難情報や河川情報、気象情報を早めに確認します。まだ安全に作業できる段階で、止水板や土のうなどの準備、排水溝の清掃、排水設備の確認、屋外キュービクルの扉や施錠状態の点検を行いましょう。雨水が吹き込みやすい隙間や、周囲に飛来物となり得る物がないかも確認します。

施設の運転停止、重要データの退避、非常用電源への切替準備などは、事前に決めた権限と手順に沿って判断します。電源の遮断操作には設備の状態や一般送配電事業者との責任分界点も関係するため、電気主任技術者や関係事業者と平時から対応方針を共有しておくことが重要です。

 

人命を優先し、危険が迫ってから作業しない

浸水が始まった場所や強風下で、止水作業や設備確認のためにキュービクルへ近づくことは避けてください。水のある場所では漏電の有無を目で判断できず、漂流物や足元の段差による危険もあります。設備を守ろうとして対応者が被災してはなりません。

どの気象情報を基準に準備を始めるか、誰が作業中止を判断するか、立入禁止範囲をどう設定するかをあらかじめ決めておきましょう。危険が迫った後は作業を続けず、避難と人命の確保を最優先にします。

 

 

 

4.浸水後にしてはいけないことと復旧の流れ

キュービクルや電気室が浸水した、または浸水した疑いがある場合は、施設担当者の判断で内部へ立ち入ったり、機器に触れたり、ブレーカーや開閉器を操作したりしないでください。水が引いていても、設備が充電されている可能性や絶縁不良が生じている可能性があります。

まず周辺への立入りを制限し、安全な場所から浸水の範囲や水位、設備の外観、停電範囲を記録します。そのうえで、電気主任技術者、保安管理の委託先、電気工事業者などへ連絡し、現場確認と復旧の進め方について指示を受けます。

 

乾いたように見えても自己判断で再送電しない

設備の外側が乾いていても、内部の端子や絶縁物、ケーブル接続部などに水分や汚れが残っていることがあります。不用意に再送電すると、感電、短絡、火災、機器の損傷範囲の拡大につながるおそれがあります。水に浸かった電気機器は使用せず、専門家による確認を待ちましょう。

停電が事業へ大きく影響する場合でも、安全確認を省略して復電を急ぐことはできません。重要負荷、必要な電力、給電が必要な期間を関係者間で整理し、仮設発電機や仮設受電設備を使えるか専門業者と検討します。仮設電源を使用する場合も、容量、接続方法、接地、運転管理などを含む安全な計画が必要です。

 

専門点検を経て使用可否と復旧方法を決める

排水後は、専門家が設備内部の汚損、腐食、変形、浸水跡を確認します。必要に応じて絶縁抵抗などを測定し、保護装置や開閉器の状態、ケーブル接続部、変圧器などを点検します。その結果をもとに、清掃・乾燥で対応できる範囲、交換する部品、更新が必要な機器を整理します。

復旧や再送電は、電気主任技術者または保安管理の委託先を中心に、一般送配電事業者などの関係者と調整し、所定の手順に基づいて進めます。復旧後も異音、異臭、発熱、漏電警報などの異常がないかを監視し、点検結果と交換内容を記録しましょう。実際の浸水経路や対応上の課題を振り返り、止水方法、設備配置、連絡体制の改善へつなげることも大切です。

 

 

 

5.水害対策工事を依頼する前に整理したい情報

水害対策の現地調査を依頼する際は、キュービクルや電気室の設置場所と高さ、自治体が示す想定浸水深、過去の浸水履歴、設備の仕様や年式を整理しておくと相談が進みやすくなります。単線結線図や配置図があれば用意し、図面と現状が一致しているかも確認しましょう。

さらに、停電させられない重要負荷、非常用電源の給電先、許容できる停止時間、希望する工事時期、将来の設備更新計画も共有します。止水板だけ、かさ上げだけと対策を先に決めるのではなく、建物側の侵入経路、排水能力、受変電設備、非常用電源を一体で確認できる事業者へ相談することが、実効性のある計画につながります。

 

 

 

6.まとめ

キュービクルや電気室の浸水は、受変電設備の故障だけでなく、長期停電や事業停止につながるおそれがあります。平時からハザードマップでリスクを把握し、止水板・防水扉、貫通部の止水、設備のかさ上げ・移設、排水設備、非常用電源、図面と連絡体制を組み合わせて備えることが重要です。

浸水後は、設備へ近づくことや触れること、自己判断での再送電を避け、電気主任技術者や専門業者による点検と使用可否の判断を経て復旧してください。御槙電業社では、オフィスビル、テナントビル、商業施設、工場などを対象に、高圧受電設備工事を含む電気設備の設計・施工・管理に対応しています。設置場所や想定浸水深、既存図面を整理したうえで、台風シーズン前の現地調査や水害対策工事についてご相談ください。