2026年02月25日
ブログ
LED化工事で失敗しないために|安さだけで選ぶと起こり得る落とし穴と正しい更新手順
近年、電気料金の上昇や環境配慮への取り組みの広がりを背景に、既存照明をLEDへ更新したいという相談が増えています。
LEDは消費電力が比較的少なく、長寿命とされる製品も多いため、コスト削減策として注目されています。
しかし、「蛍光灯をLEDに替えるだけ」と考えて工事を進めてしまうと、思わぬ不具合や想定外の追加工事が発生する場合があります。LED更新工事は単なるランプ交換ではなく、既存設備の状態を総合的に確認する“設備更新工事”と捉えることが重要です。
本記事では、LED更新工事で起こり得る代表的な落とし穴と、失敗しないための基本的な進め方を解説します。
1. なぜ今、LED更新工事が増えているのか
LED更新が進んでいる背景には、主に三つの要因があります。
第一に、電気料金の上昇です。照明は建物全体の電力使用量の中でも一定の割合を占めるため、LED化によって消費電力を抑えたいというニーズが高まっています。
第二に、省エネルギーや脱炭素への取り組みです。企業や公共施設では、環境配慮の観点から設備更新を検討するケースが増えています。
第三に、自治体や国の補助制度が活用できる場合があることです。ただし、補助制度は年度や地域によって内容が異なるため、最新情報の確認が必要です。
このように、LED更新は時代の流れに沿った選択といえますが、適切な方法で進めなければ効果を十分に発揮できない可能性があります。
2. 落とし穴① 安定器を残したままのLED化
蛍光灯器具には、安定器と呼ばれる部品が内蔵されています。安定器には磁気式や電子式などの種類があり、蛍光灯点灯に必要な電流を制御する役割を担っています。
LED更新の方法には、安定器をそのまま使用する「安定器対応型LED」を採用する方法と、安定器を撤去して配線を直接接続する方法があります。
安定器対応型は施工が比較的簡易な場合がありますが、安定器自体は経年劣化する部品です。長期間使用された安定器をそのまま使い続けることで、不具合や異常発熱が起こる可能性があります。
更新時には、安定器の使用年数や状態を確認し、必要に応じて撤去や器具交換を検討することが望ましいでしょう。
3. 落とし穴② 器具本体の劣化を見落とす
LEDランプのみを交換すれば十分と考えがちですが、器具本体の状態確認も重要です。
長年使用された照明器具では、内部配線の絶縁性能が低下している場合や、ソケット部分が劣化している可能性があります。
また、反射板が変色・劣化していると、設計上の光束が確保できず、十分な明るさを得られないケースもあります。
ランプ交換だけでは根本的な改善にならないこともあるため、器具全体の状態を踏まえた判断が必要です。
4. 落とし穴③ 照度設計を見直さない更新
LEDは蛍光灯と比べて光の指向性が異なる特性があります。そのため、同じ配置でも照度分布が変わることがあります。
場合によっては、数値上は基準を満たしていても、体感的に暗く感じることがあります。特にオフィスや店舗など、作業性や顧客満足度に直結する空間では注意が必要です。
照明更新時には、用途に応じた照度基準を参考にしながら、配置や器具選定を検討することが望ましいでしょう。
5. 落とし穴④ 分電盤・回路設計を確認しない
LED化によって消費電力は下がる傾向にありますが、それだけで回路の確認を省略するのは適切とはいえません。
LED照明の電源部では、製品によって突入電流が発生する場合があります。複数台を同時に点灯させる回路では、条件によっては遮断器が動作する可能性があります。
また、築年数が経過した建物では、分電盤や遮断器が経年劣化していることもあります。更新工事の際に、回路容量や機器の状態をあわせて確認することが、安全性向上にもつながります。
6. 落とし穴⑤ 価格のみで業者を選定する
LED更新工事では、複数社から見積もりを取るケースが一般的です。しかし、価格だけで判断するのは注意が必要です。
見積書に「一式」と記載されている場合、その内容を確認することが重要です。器具交換のみなのか、配線工事や安定器撤去を含むのかで、工事内容は大きく異なります。
また、施工後の保証内容やアフター対応の有無も確認しておきたいポイントです。配線工事を伴う場合は、電気工事士の資格を有する作業者が施工する必要があります。
7. 失敗しないLED更新工事の基本的な流れ
LED更新を適切に進めるためには、以下のような手順が参考になります。
1.現地調査
2.器具・安定器の状態確認
3.照度確認や簡易計算
4.分電盤・回路容量の確認
5.工事実施
6.絶縁測定や点灯確認などの最終チェック
これらを丁寧に行うことで、更新後のトラブルを未然に防ぎやすくなります。
8. まとめ|LED更新は「省エネ対策」だけではない
LED更新工事は、電気代削減だけを目的とするものではありません。既存設備の状態を見直し、安全性や保守性を高める機会にもなります。
安さだけを優先するのではなく、建物の将来計画や設備の更新周期も踏まえて検討することが重要です。
適切な現地調査と計画のもとで実施することで、長期的に安心して使用できる照明環境を整えることにつながります。
