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2025年12月16日

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築20年以上の公共施設で増える電気工事の更新ポイント一覧|老朽化対策で見落とされがちな設備とは

全国の自治体では、築20年以上を経過した公共施設が多く、老朽化対策や設備更新の検討が必要となる場面が増えています。庁舎や図書館、体育館などは、建物自体に大きな問題がなくても、電気設備が先に更新時期を迎えるケースが少なくありません。電気設備は日常的に使用され続けるため、経年による劣化や当初想定とのズレが蓄積しやすい分野です。

本記事では、築20年以上の公共施設で特に相談が増えている電気工事の更新ポイントを整理し、老朽化対策として見落とされがちな設備や注意点について解説します。施設管理者や発注担当者が、計画的な更新を検討するための基礎知識としてご活用ください。

 

 

 

なぜ「築20年」が電気設備更新の分岐点になるのか

建築物全体の耐久性と比べると、電気設備は比較的早い段階で更新の検討が必要になります。税法上の耐用年数と実際の使用年数は必ずしも一致せず、使用環境や稼働状況によって劣化の進行には差が生じます。

公共施設では、施設種別や運用状況によって差はあるものの、開館時間が長く利用者も多いため、照明や電源設備が長時間稼働する傾向が見られます。また、開設当初には想定されていなかった情報機器や設備の増設が繰り返され、電気負荷が増加しているケースも少なくありません。築20年を超える頃には、こうした要因が重なり、点検結果や使用状況によっては電気設備全体の見直しが必要になるケースが見られます。

 

 

 

受変電設備(キュービクル・高圧機器)の更新ポイント

築年数が経過した公共施設では、更新検討の相談が多い分野の一つとして受変電設備が挙げられます。キュービクル内の高圧機器や遮断器、保護継電器などは、経年劣化により性能が低下していきます。

特に問題となりやすいのが、メーカーによる保守期限の終了です。部品供給が終了している機器を使い続けると、故障時に迅速な復旧ができず、施設全体の停電につながるおそれがあります。また、定期点検の結果、劣化の兆候や不具合を指摘されるケースも見られるようになります。

受変電設備の更新工事では、停電計画や仮設電源の確保が重要な検討事項となります。施設の利用を完全に停止できない場合も多いため、事前の調整と段階的な更新計画が求められます。

 

 

 

分電盤・幹線設備の更新で多い課題

分電盤や幹線設備についても、築20年以上の公共施設では更新ニーズが高まります。特に多いのが、当初の設計時に想定されていた電気容量と、現在の使用状況との乖離です。情報機器や空調設備の増設により、分電盤が常に高負荷状態になっている例も見られます。

また、盤内部の部品が当時の仕様のまま残っていたり、配線の劣化が進んでいたりするケースもあります。外観上は問題がないように見えても、内部では接続部の緩みや発熱、絶縁性能の低下が進行していることがあります。

こうした設備は、見た目だけで判断することが難しいため、点検結果や使用状況を踏まえた専門的な判断が欠かせません。

 

 

 

照明設備の更新ニーズと注意点

照明設備の更新は、築20年以上の公共施設で特に目に見えやすい工事の一つです。従来の蛍光灯器具は製造終了が進んでおり、LED照明への更新を検討する施設が増えています。

ただし、単純に器具を交換すれば済むとは限りません。天井構造によっては器具の重量や取り付け方法を見直す必要がありますし、調光設備や非常照明との兼ね合いも考慮する必要があります。特に非常照明は法令との関係が深いため、一般照明と同時に更新計画を立てることが重要です。

 

 

 

非常用電源・防災関連設備の見直し

公共施設において、非常用電源や防災関連設備は重要な役割を担っています。非常照明や誘導灯は、バッテリーの劣化により本来の性能を発揮できなくなることがあり、点検時に指摘を受けるケースも少なくありません。

また、非常用発電機やUPS(無停電電源装置)についても、長期間使用されていないまま老朽化が進んでいる例があります。点検や試運転が不十分な場合、非常時に期待通り動作しないおそれがあるため、定期的な点検と更新の検討が重要です。

近年では、公共施設が防災拠点として活用される場面もあり、当初の想定とは異なる役割が求められることもあります。そのため、電気設備が現在の用途に適しているかを再評価する視点が重要になります。

 

 

 

情報通信・弱電設備の老朽化という盲点

築20年以上前に建設された公共施設では、現在ほど情報通信設備の利用が想定されていないことが一般的でした。そのため、ネットワーク配線や放送設備、監視カメラなどが後付けで増設され、配線が複雑化しているケースが多く見られます。

これらの弱電設備は、電気工事と情報工事の境界が曖昧になりやすく、更新時に工事範囲や責任分担が問題になることがあります。電源設備とあわせて計画的に見直すことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

 

 

 

更新工事を進める際に押さえるべきポイント

電気設備の更新工事を検討する際には、一括で更新するのか、段階的に進めるのかを慎重に判断する必要があります。予算の制約や施設運営への影響を考慮しながら、優先順位を整理することが重要です。

また、公共施設では「使いながら工事」を行うケースが多く、夜間工事や休館日を利用した施工、仮設設備の設置など、通常の工事とは異なる配慮が求められます。こうした条件を踏まえると、早い段階から専門業者に相談し、設計や積算の段階で十分な検討を行うことが、円滑な更新につながります。

 

 

 

まとめ

築20年以上の公共施設では、受変電設備や分電盤、照明、非常用電源など、複数の電気設備が同時期に更新の検討対象となることが多くなります。建物自体に問題がなくても、電気設備の老朽化が施設運営に大きな影響を及ぼすこともあります。

トラブルを未然に防ぐためには、定期点検の結果を踏まえた計画的な更新と、施設の利用状況に応じた設備の見直しが欠かせません。築年数を一つの目安としながら、将来を見据えた電気工事の更新計画を進めていくことが重要です。