2025年05月14日
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マンション管理組合必見!共用部の電気設備工事で失敗しないための5つのチェックポイント
マンションの共用部に設置される電気設備の更新や追加工事は、居住者の利便性と安全性を向上させる一方で、管理組合の判断と手続きに大きな責任が伴います。
防犯灯、インターホン、EV充電設備などの導入は、適切な計画と準備がなければ思わぬトラブルにつながりかねません。
この記事では、マンション管理組合が共用部の電気設備工事を円滑かつ安全に進めるための「5つのチェックポイント」を実務視点からわかりやすく解説します。
1. 共用部の電気設備更新が求められる背景とは
マンションの築年数が進むにつれて、共用部の電気設備は老朽化し、機能面や安全面に課題が生じます。
たとえば、照明が暗く防犯上の不安を感じる、カメラ付きインターホンがないために来訪者対応が不便、防犯カメラの映像が不鮮明でトラブル時に役に立たないといったケースが挙げられます。
また、近年のEV(電気自動車)普及を背景に、EV充電設備のニーズも高まっており、将来的な標準設備としての導入を検討する管理組合も増えています。
セキュリティ意識の高まりにより、インターホンもカメラ付きで顔が見えるタイプが標準化しつつあり、居住者の安心感向上に寄与しています。
このように、共用部の電気設備更新は時代の要請とも言える取り組みです。
2. 工事前に必ず確認すべき「電力容量と受電設備」
新しい電気設備の導入にあたって最初に確認すべきは、「現在の契約電力容量」と「受電・分電設備の状況」です。
EV充電器の設置には1台あたり2kW〜6kWの電力が必要となり、現在の契約容量や受電設備が対応できない可能性があります。
その場合、電力会社との契約変更や高圧受電設備の更新工事が必要になることもあります。
さらに、分電盤に空き回路があるか、幹線ケーブルの容量が十分かなど、現地調査と技術的な検証は不可欠です。
専門業者による事前シミュレーションを行うことで、無理のない設備導入が可能になります。
3. 失敗例に学ぶ!ありがちなトラブルとその対策
工事に伴うトラブルの多くは、事前準備や情報共有の不足によって発生しています。以下はよくある事例です。
- 事例1:照明更新後に「暗い」とクレームが発生
→ 照度設計が不十分だったため。事前に照度シミュレーションを行うことが重要です。 - 事例2:EV充電器設置後、管理規約との不整合で使用停止
→ 共用部の用途変更が規約に抵触。工事前に規約改定を含めた検討が必要でした。 - 事例3:補助金申請に失敗し、費用全額を自己負担
→ 工事開始前の申請が必須だったにもかかわらず未対応。制度要件を事前に確認する必要があります。
これらのトラブルは、「技術的な検証」と「制度・規約面での準備」を並行して進めることで未然に防げます。
4. 信頼できる業者選定と見積り比較のポイント
業者選定は、電気工事の品質とスムーズな工事進行を左右する重要なプロセスです。
特にマンションは住民が常時生活している環境であるため、配慮ある施工が求められます。
見積りは最低でも3社以上から取得し、価格だけでなく以下のポイントを比較しましょう。
・過去の実績(特に集合住宅での工事経験)
・保証内容と保守契約の有無
・工事後のアフターサポート体制
・住民対応や安全対策への姿勢
また、施工体制や担当者の説明の丁寧さ、対応の速さなども総合的に評価し、信頼できるパートナーを見つけましょう。
5. 住民説明会での合意形成のコツ
共用部の設備更新では、住民の理解と同意が欠かせません。
特に費用負担や管理規約の変更を伴う場合は、臨時総会での決議が必要になります。
説明会で伝えるべき主な情報は以下の通りです。
・設備更新の目的と必要性(安全性・快適性・資産価値向上)
・工事にかかる費用とその負担割合
・工事期間と生活への影響
・補助金制度の活用予定
・設置後のイメージ(写真や動画を活用)
反対意見に対しては感情的にならず、「資産価値の向上」「防犯対策強化」など、客観的かつ長期的なメリットを丁寧に説明することが大切です。
まとめ:安心・安全な住環境づくりは電気設備から
共用部の電気設備工事は、住民の安心・安全な生活を支えると同時に、マンションの資産価値を高める大切な取り組みです。
適切な調査と計画、住民への丁寧な説明、信頼できる業者との連携を通じて、工事の成功とトラブル回避が実現できます。
今回ご紹介した5つのチェックポイントを参考に、将来を見据えた電気設備工事を進めていきましょう。